一年ほど前にパルコシティのPOKER FACEで買った金子眼鏡店の職人シリーズ(井戸多美男氏作)が気に入っていて、買い物ついでに度々立ち寄っていたのですが、先日立ち寄った時に新作が入っていました。とても軽く「先セル」と呼ばれる耳当て部分が耳全体で支えるように作られています。何度か見にいって、いざ買おうとしたら売り切れたとのこと。諦めかけた時に他店の在庫を確認してくれ、取り寄せることができることが判りました。
数量限定でPOKER FACEの30周年記念別注モデルだそうで、ホームページを見ると本数が極めて少ないことが判りました。
昭和38年、父井戸久秋を師と定め約10年にわたり修行に入る。その後も眼鏡づくりに没頭し、非常に複雑で数多くの工程を一人でこなす。その職人技は伝統的な製法や、今や見聞きすらしない古の製法にまで至る。繊細で上品な仕上がりは、奥ゆかしく凛とした佇まいで、やさしく表情を演出する。
井戸氏の一山フレームは、日本人に合うノーズパッドの高さ、伝統的な左右非対称丁番、掛け外しを考慮したテンプルエンドのしのみ返しなど、繊細なディテールにまで配慮して作られています。重厚な機械を手足のように操り、極限まで無駄が削がれた細部には、膨大な年月をかけて培われた技術と知恵が込められています。
大小ある様々なパーツのプレスから、ノーズパッドやクリングスのロー付けに至るまで、非常に複雑で数多くの工程を自ら一つひとつ行ないます。中でも素材であるサンプラチナの光沢を出すためには、通常の約3倍の時間をかけてバフ研磨する必要があり、国内屈指のメタル職人である井戸多美男氏の手だからこそ、温かく繊細な輝きを引き出すことができます。
今まで使っていた眼鏡も彼の作なのですが、こうした「職人の手」が生み出した物は温かみがあると感じます。レンズを選んで待つこと一週間で出来上がりました。