落語一之輔/春秋三夜2025春【第一夜】

2025年春の春秋三夜は4月18日(土)から20日(日)までの三日間での開催になりました。今日は第一夜。演目は以下の通り。

【開口一番】

開口一番は貫いちの「真田小僧」。

噺ぶりは悪くないと思いますが、サゲが少し雑な感じがしました。

【第一席】

出囃子は時事ネタから「マジで恋する5秒前」。マクラは当然ながら一之輔と三つ違いの広末涼子の話で始まります。途中からネタ下ろしである春秋三夜の愚痴に変わり、落語協会の理事になったことから真打披露の口上を述べなければならないという愚痴でした。第一席は「ちりとてちん」。横丁の旦那が喜ィさんを呼んでご馳走している。旦那も一杯飲もうと酒のアテに豆腐を持って来させる。豆腐は十日前に買った置いておいたもので黴だらけになっている。一度は捨てようとした旦那は口の悪いロクさんを読んで台湾土産の「ちりとてちん」と偽って食べさせる。

「ちりとてちん」は上方落語で江戸落語では「酢豆腐」に変わります。

【第二席】

二席目はネタ下ろしの「ぜんざい公社」。「ぜんざい」を管轄する役所があることを知った男が役所を訪ねてぜんざいを食べようとするが、様々な手続きが必要で診療所で健康診断書を貰い、餅を入れる許可を取り、餅を焼く許可を取り、挙げ句の果てに分庁舎にある食堂までバスで出向いてようやくぜんざいを食べることができたが甘くない。オチは掛け言葉で終わります。

初めて聴く噺で役所を皮肉った古い新作落語だそうです。

【第三席】

仲入りを挟んで三席目は「たちきり」。「たちきり」は線香が燃え尽きるまでの時間を指します。

遊びが過ぎる若旦那が100日のあいだ蔵に押し込められる。若旦那を慕う柳橋のお久は待ち続けるが、挙げ句の果てに憔悴して死んでしまう。蔵から出された若旦那は柳橋に向かいお久に会おうとするが置屋の女将にお久が亡くなったことを聞かされる。仏壇の位牌に線香を上げて弔いを始めると仏壇に立てかけたお久の三味線が鳴り始め、そばらくすると鳴り止んでしまう。

この噺は元は上方落語のネタものが江戸落語として定着したものだそう。一之輔の安定した噺ぶりが際立っていました。