よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-

連続休暇四日目。
天気が良いのは今日までのようなので、散歩がてら沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)へ。
今日から『御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」』が開催されています。

天皇陛下の御即位をはじめとする皇室の御慶事を記念し、正倉院宝物の精巧な再現模造の数々を一堂に公開する展覧会を開催します。
正倉院宝物とは、奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々です。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、調度品、楽器、遊戯具、武器・武具、文房具、仏具、文書、染織品など多彩な分野にわたります。
中には、西域や唐からもたらされた国際色豊かな品々も含まれるなど、天平文化華やかなりし当時の東西交流もうかがい知ることができます。
しかし、1300年近くという長い時代を経て今日にいたる正倉院宝物は、きわめて脆弱であるため、毎年秋に奈良で開催される「正倉院展」で一部が展覧される以外はほとんど公開されてきませんでした。

展示は第一章:楽器・伎楽、第二章:仏具・箱と几・儀式具、第三章:染織、第四章:鏡・調度・装身具、第五章:刀・武具、第六章:筆墨で構成されています。
第一章:楽器・伎楽では有名な「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」が展示されており、その制作過程や主立ったパーツも展示されています。夜光貝などを使った螺鈿細工や、玳瑁(タイマイ)を使った鼈甲細工の組み合わせ方を紹介するビデオなどもあって、8年がかりで制作された過程を見ることができました。この琵琶は形を再現しただけでなく、実際に演奏できるようになっているそうで、その音色も流れていました。

模造 螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)
正倉院事務所蔵

この他に「螺鈿紫檀阮咸(らでんしたんのげんかん)」という名の四弦で胴の丸い琵琶がありました。

第三章:染織では当時の絹織物を再現するために、皇居内にある「紅葉山御養蚕所」で飼育されている在来種の「小石丸」の糸が使われ、赤色の染料である茜(あかね)は皇居に生えていた日本茜を増やして作られたそうです。小石丸の糸と現在の絹糸のサンプルも展示されていましたが、その細さと純白の輝きは比較にならないほどでした。

どの品も吟味された材料と卓越した技術を集結して作られたもので、その素晴らしさに圧倒されました。こうした品々を昔の人はどのようにして作ったのでしょう。本当に模造品に圧倒されたひとときでした。