今日の配信は「落語一之輔/春秋三夜2025春」の第三夜。演目は以下の通り。
【開口一番】
今日の開口一番は春風亭与いちの「黄金の大黒」。
大家に呼ばれた長屋の連中は店賃の催促かと戦々恐々としていたが、大家の子供と長屋の子供が大家の普請場で遊んでいると砂の中から金の大国様の像を掘り出し、これに気を良くした大家が長屋の連中にご馳走しようと呼びにきたということが分かって一安心。目出度いことなので長屋に一枚しかない羽織を順番に着て祝いの挨拶をしようということになるが…
噺ぶりは熟れていてとても聴きやすかったと思います。
【第一席】
一之輔の一席目は「普段の袴」。出囃子は「茶色の小瓶」です。
黒羽二重の紋付、仙台平の袴、白足袋に雪駄履きという立派な出立ちの侍が馴染みの骨董屋で煙草を吸いながら谷文晁作の鶴の掛け軸を誉めている。咳き込んだ拍子に煙管の火玉が飛び出して侍の袴に落ち、袴に傷がついていないか心配している骨董屋の主人に対して「普段使いの袴なので心配ない」と言って立ち去る。これを見ていた八五郎は自分もあの侍のように格好をつけたいと印半纏に大家に借りたヨレヨレの袴に着替えて骨董屋に。煙草を吸いながら侍と同じように煙管の火を飛ばそうとするが煙管が詰まっていてなかなか飛び出さない。仕方がないので思い切り吹くと火玉が八五郎の頭の上に落ちてしまう。
高座を下りる時のお囃子は「第三の男のテーマ」。
【第二席】
二席目は「岸柳島」。出囃子はビール繋がりでオールナイトニッポンのテーマにもなっていた「ビート・スィート・サンバ」。
渡し舟に無理やり乗り込んだ若侍、景色を眺めながら吸っていた煙管を舟縁でたたくと雁首がはずれて川の中に沈んでしまう。悔やんでいる若侍にくず屋が不用になった吸い口を売ってくれと持ちかけると、若侍は怒ってくず屋の首を打ち落とすといきり立つが見兼ねた年配の侍が助け舟を出す。題目の「岩柳」(がんりゅう、巌流とも)は佐々木小次郎の別名。
今日のネタ下ろし。他の落語家で聴いたことがありますが、その時は「巌流島」と書かれていたように思います。なかなかの出来だったと思います。
【第三席】
仲入りを挟んで三席目は「紺屋高尾」。
真面目一筋の染物屋の奉公人久蔵は吉原に連れて行かれて花魁道中で見た高尾太夫に惚れ込んでしまう。奉公人が花魁を相手にするのは無理と聞かされて久蔵は寝込んでしまうが、医者の竹内蘭石が訳を聞き、初回でも十両は必要だから一年間の給金三両を三年分、九両貯めたら一両足して十両にして高尾に会わせてやると約束する。久蔵は必死で働いて三年後に九両貯めて高尾に会うことができた…
一途な久蔵と一途さに惚れた高尾のやり取りが見事です。流石に安定した噺ぶりでした。
秋の三夜も決まっているそうです。