落語一之輔/春秋三夜2025春【第二夜】

今日の配信は第二夜「落語一之輔/春秋三夜2025春」第二夜です。演目は以下の通り。

【開口一番】

開口一番は春風亭㐂いちの「湯屋番」です。吉原通いが過ぎて勘当され、出入りの大工熊五郎宅の二階に居候している若旦那が湯屋に奉公に出る。無理やり番台に上がって妄想に耽るが…

開口一番なので時間の制約があったのか妄想の途中で無理やりサゲに。残念でした。

【第一席】

出囃子は「世界の国からこんにちは」。マクラも万博の話題で万博会場で落語を演っている話から始まって大谷翔平が父親リスト(産休)に入って休んでいる話に。

大家さんのところの赤ん坊の初節句に長屋一同で人形を贈ることになって八公が買い物に行くことになるが、心許ないので買い物上手な留さんに付き添って貰うことになる。人形屋で物色するが予算に見合うものがない。店先に置いてある二体の人形、神功皇后と武内宿禰であれば買えることになる。どちらにするか長屋で相談することになり、お喋りな小僧が人形を持って二人と一緒に長屋に向かう。道中で小僧が店の若旦那と女中の痴話を話始めてしまい、最後は小僧に背負われた人形が小僧の話の続きを聞きたいと言い出してサゲに。

時間調整なのか噺の途中でサゲになったようです。高座を降りる時のお囃子は「おむすび」のテーマでした。

【第二席】

出囃子は「アンパンマンのマーチ」。朝ドラ好きの一之輔に朝ドラの話をさせたいがために曲を選んでいるとのこと。案の定、マクラで延々と「あんぱん」の話が続きます。

二席目の噺は「夢の酒」。大黒屋の若旦那が向島を歩いていて雨に降られ、軒を借りて雨宿りをしていたらその家の女中に声を掛けられ、美人のご新造が出てきて家に迎え入れられる。膳と酒が出てきて接待を受けるが酒が苦手な若旦那は頭が痛くなって伏せってしまう。その後でご新造も布団に入ろうとするところで女房のお花に起こされる。お花にどのような夢だったのか聞かれて話をするとお花が泣き出してしまう。お花は大旦那を捕まえて夢の中のご新造に意見してきてくれと頼む。大旦那は粟島様に願を掛けて息子の夢の中に入ることができたが残念なことに酒が飲めないまま目が覚める。

十分に熟れた噺ぶりでとてもネタ下ろしとは思えない出来だったと思います。

【第三席】

仲入りを挟んで三席目は「佃祭」。これは初めて聴く噺でした。マクラは身体を治してくれる神様の話です。長野の戸隠神社は歯の神様で梨に悪いところを書いて川に流し、戸隠の方向に向かって手を合わせると歯痛が治るそう。

神田で小間物屋を営んでいる次郎兵衛が佃島の祭から帰ろうと、最終の渡船に乗ろうとすると女に引き留められる。三年前に五両の金を無くして吾妻橋から身を投げようとしていたところを五両を恵んで助けた女だった。女は旦那が漁師でいつでも舟を出せるからと自宅に誘う。旦那が帰ってきて最終の渡船が沈んでしまったことを話す。片や次郎兵衛の家ではいつまで経っても次郎兵衛が帰ってこないので心配しているところに渡船が沈んだという知らせが入り、次郎兵衛も死んだことになって葬式が始まってしまう。命が助かった次郎兵衛は漁師に送って貰って家に帰ると忌中の札が貼ってあって驚くが最終の渡船に乗らなかった訳を話すと「情けは人の為ならず」五両で人を助けると幸いが戻ってくるという話になり、誰も彼もが五両を持って身投げを助けようとし始める。永代橋で合掌している女性を見かけた男が止めに入ると女は「歯が痛いから戸隠様に願をかけていた」と説明する。男は袂に石が入っているから身投げだと決めつけるが…

この噺は初めて聴きました。マクラで戸隠様と梨の話が無ければ確かにこの噺のサゲの意味は分からなかったでしょう。


配信サイトには「千穐楽の一言」と題した特典映像が掲載されています。

千秋楽を終えて幕が下りて頭を下げて高座を下りてきて今回の三夜について一言話すという趣旨なのでしょうが、打ち上げで行く焼肉と酒の話で終わります。

楽屋口には三夜分の演目が張り出されていました。配信でしか見れませんがこれはこれで面白い企画だと思います。